
花びらの形は同じ形をしている植物が多いように思うが、スミレ科、マメ科の植物は花弁のそれぞれの形が異なっている。スミレは5枚の花びらの大きさが同じではなく、下側の1枚が大きい。花の形は左右対称にはなるが、上下はならない。5枚の花びらのうち、上の2枚を上弁、左右の2枚を側弁、下の1枚を唇弁または下弁と呼ぶそうだ。
スミレの花はラッパのような独特の形をしており、花弁の奥は距(きょ)に続いている。スミレの名の由来も花の形状が墨入れ(墨壺)に似ているからという説もある。距には蜜が入っており、ここを狙ってムシたちがやってくる。
さて、1枚目の写真はタチツボスミレであるが、普通のスミレの花である。

2枚目の写真はナガハシスミレ。花を見てわかるようにタチツボスミレに似た花であるが、距が異様に長い。別名テングスミレとも呼ばれており、比較的日本海側に多い種類のスミレである。

スミレの距には蜜が入っており、これを狙って潜り込んできた昆虫に花粉を媒介してもらう(写真は口吻の長いビロウドツリアブ)。ところが、いつの世も悪いやつはいるもので、距の部分を外からかじって、蜜だけ横取りするムシもいる。最近園芸用に使われているセイヨウマルハナバチなどもそうした性質があるそうである。花にとっては大きな迷惑だ。
スミレの距の中には、雄しべ5本のうち2本の雄しべから「脚柱(雄しべの距)」と呼ばれる突起が伸びて納まっており、蜜はその先から分泌される。この脚柱と距の長さに一定の相関関係がないことがわかっている。つまり、蜜が分泌される場所が長い距のどこにあるか、不特定の位置にあれば盗蜜者も位置を特定できないということになる。
長い距は、蜜をもらいにくるムシたちに嫌われ、不利なのでは?と思ったが、けっこうしたたかに生き残ってきたのである。
posted by かたくり at 23:57| 新潟 ☁|
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